瀬戸口高之(ACE)


 元の名を瀬戸口隆之という。ガンパレード世界の第六世代。熊本にて、学兵からなる5121小隊にオペレーターとして配属され幻獣との戦争に参戦した。
 彼自身いろいろと込み入った個人的な事情が背景にあり、内面は見かけ通りの年齢でもなければ、その優男ぶりが示すだけのただ軽薄な青年でもない。
 それら基本的な事柄についてはいろいろな資料で確認することが出来るが、今回問題になるのはアイドレス内の小笠原ステージに召喚された瀬戸口隆之は、彼が長年求めていた“運命の恋人”との再会を果たすことができずに厭世と人間不信に沈んでおり、ただ一人曇りのない光を与えてくれる東原ののみという少女だけを溺愛している状態だった、というそれだけである。


 そんな彼に近づいてきた娘がいた。
 最初は関わり合うのがいやで遠ざけようとしたが、なかなかうまくいかず、気付けば一生懸命彼を追おうとする娘に好意らしきものを抱くにいたった。
 うっかり信じかけたところで不安と不信がぶり返し、一度は娘の前から姿を消そうとしたが、これもうまくいかなかった。何しろ娘はうかつな行動で、彼の前でたびたび窮地に陥るのである。さすがにそれを放置できるほど彼は冷血ではなかった。
 ともあれ、彼は娘の不器用な証し立てを受け入れることにし−−それからもまだいくつかの波乱と紆余曲折があったが、なんとかそれを乗り越えて二人の思いは通じ合った、というのが今現在の瀬戸口の状況である。
>>ログまとめ:勲章取得まで


 彼の今の名を瀬戸口高之という。遠ざけられてもめげずに彼を追いかけた娘、旧名つきやままつりに求婚し、彼女と同じ職場−−宰相府の秘書官という定職を得て、先頃ようやく指輪を渡すことに成功したらしい。秘書官としての仕事ぶりは真摯かつ優秀という噂も聞かれている。
 勲章後初のデートとなった夏のコテージでの約束を言葉通りに彼が果たすつもりならば、指輪購入のあとは、秘書官であり『宰相の娘』と呼ばれるまつりの『父』すなわち宰相に結婚の挨拶にいくことになるが、はたして−−?
>>ログまとめ:勲章取得のその後

瀬戸口高之(ACE)
L:瀬戸口高之={
t:名称=瀬戸口高之(ACE)
t:要点=すみれ色の瞳,たれ目,優しい顔,長い剣
t:周辺環境=夏のコテージ
t:評価=全能力19
t:特殊={

*瀬戸口高之はオペレーター、パイロット、鬼、世界忍者として見なし,これらの持つ全ての特殊が使える。
*瀬戸口高之は洒落た言葉で女性相手への魅力判定で必ず成功する。


→次のアイドレス:・瀬戸口まつり(ACE)・鬼(職業)・世界忍者(職業)・最強緑茶(マジックアイテム)


>>瀬戸口まつり(ACE)
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SS  近頃のあの人は

 首を回すとこきこきと音が鳴った。うん、とのびをすれば、すっかり硬くなった体が余裕を覚えて弛緩する。ふうとため息をつき、一度目を閉じた後で、もう一度開く。すみれ色の瞳には、もう疲れの色は無かった。  ただし、寝不足だけは誤魔化しようもなく。隙を突いては現れるそれを口をゆがめて噛み殺しつつ、瀬戸口高之は席を立った。残業終了。今日はもう終わりである。
「それにしても」
 まじめに仕事をするというのは思ったよりも大変である。まあ大変だから仕事になって、報酬も入るのだから、当然と言えば当然である。そんなことを考えながら部屋を出て、廊下を進む。帰り道からは少しそれて、いつもどおりに別の部屋に顔を覗かせた。
「あ、瀬戸口さん来たよー」
「ほらほら、やっぱり今日も来たよー」
「ちょ、ちょっと。二人とも……」
 秘書官仲間らしい二人の女性陣がこっちを見て奥に声をかけた。にやにや笑うのを隠そうともせずに奥で作業している一人の女性をからかっている。それから片方が席を立ってお茶を用意し、もう片方が椅子をずらして置いていく。それから二人で二人分のお茶を淹れた後、お疲れさまでーすと言って、二人は廊下に出て行った。
「あ、コラ。まだ仕事……もう」
「気を使ってくれたのさ」
「…………それは、嬉しいですけど。その」
 少し顔を赤くしたまま視線をそらすのは、無論のこと、瀬戸口まつりである。もっとも、仕事が、とか、同僚の態度への不満とか、そういった不満を一生懸命前に出そうとしているが、今にもふやけそうな顔が全てを裏切っていた。
 高之は笑顔のまま近づいていき、今度何かお礼こさえてこないとな、と先ほど立ち去った人たちに思った。
「高之さんは仕事は?」まつりが聞いた。彼女の手元では、分厚いファイルが広げっぱなしになっている。
「ん? ああ。今日の分は片付けたさ。なんだったら、手伝おうか?」
「あ、いえ。私の方も……」
「…………」
「……あ、明日には終わります」
「じゃあ、明日まで待とうか」
「……もー。今日は意地悪じゃありません?」
 少し膨れるのを見て、高之は微笑した後、悪い、と言った。それからお茶を飲む。
「ほんとはただ顔を見たかっただけだ。――ま、気を利かせてくれたみたいだが」
「そうですね」こくりと頷くまつり。お茶を飲んでから、じっと高之を見た。「……私も、顔を見たかったですけど」
「そうか」
 高之は笑うと、顔を近づけてキスをした。すかさず、まつりもキスを返す。
「わー」
「わー」
 上がる歓声。まつりがはっとして振り返れば、部屋の出入り口にギャラリィが出来ていた。顔が真っ赤になる。
「あ、あなたたちねぇ!」
「いいじゃないか。見せつけてやれば」
 言って、反射的に立ち上がったまつりを抱えて膝に座らせた。え、ちょっと、と言っている間にすっかり確保されてしまう。さらに高くなる歓声。まつりはさらに顔を赤くしつつ、高之を睨むか、ギャラリィを睨むか、迷った据えに両方を一度ずつ睨みつけてそっぽを向いた。
 さて、問題はここからどうやって機嫌を直してもらうかだが……。

 なにはともあれ、今日もいちゃらぶのまっただ中の二人である。


Special Thanks for

中段イラスト:南天@後ほねっこ男爵領 様
SS:黒霧@星鋼京 様